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認知症と枕の高さ

この記事はAlmama編集部平山久仁子が執筆しました。

脳の血管に障害が起きる脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など脳卒中は、認知症へのリスクを高めます。リスク減らには、適切な生活習慣が大切です。
1月30日に発表された国立循環器病研究センター(国循)研究チームの新しい疾患「殿様枕(とのさままくら)症候群(英語名=Shogun pillow syndrome)」は、枕の高さと脳卒中の発症リスクに関する分析の結果から名づけられました。同研究チームの江頭柊平(しゅうへい)医師(現・京都大)は、「高い枕で寝る人には、脳卒中の原因の一つとなる特発性椎骨(ついこつ)動脈解離の発症リスクが高めである」ことがわかったと話しています。
椎骨は頭を支える首の骨で、背骨に繋がります。成人の人間の頭の重さは、体重の約10%で4㎏~6㎏ぐらいになり、首にはいつも大きな負担がかかっています。この椎骨には、左右に2対(首の前側:頚動脈、首の骨の中:椎骨動脈)の脳に栄養を送るために動脈があります。動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造になっていて、その一番内側の内膜が傷つくと血管の壁の中に血液が入り込みます。内出血によって血管が膨らみ裂けると、椎骨(ついこつ)動脈解離を発症します。動脈解離のリスクは全身の動脈にありますが、頭部の椎骨動脈解離は最も発症が多いところです。椎骨動脈解離が起こると、突然激しい頭痛に襲われ、意識障害を起こすこともあります。血管の裂ける程度が軽症で、すぐ治療を受ければ大きな問題になることは稀です。しかし血管の裂ける場所、裂ける程度によっては、脳に血液が送れなくなったり、末梢血管が詰まって脳梗塞が起こすこともあります。血管の壁が外側まで裂けると血液が脳内に漏れ出し、くも膜下出血などが起ります。特発性の椎骨動脈解離は脳卒中リスク全体の2%程度ですが、そのうち2割近くが死亡もしくは後遺症が残る疾患に繋がると言われています。
 今回、国循の研究チームは、原因不明の特発性椎骨動脈解離患者のうち、17~19㎝の高さ枕の使用者がいることに注目。2018~23年の国循での特発性椎骨動脈解離患者53人(45~56歳)と、同時期に脳梗塞や脳出血で入院した53人を比較し、発症時の枕の高さを調査しました。その結果、15センチ以上の枕を使っていた9割の人に、特発性椎骨動脈解離の発症が確認しできました。枕が高いと首の屈曲が大きくなり、血管が圧迫されたり、寝返りを打ったときの衝撃なるも大きいなることが考えられます。また、やわらかい枕に比べ、硬い枕も発症リスクを高める傾向があると報告されています。

眠りと枕の高さ

枕の高さや柔らかさには、人それぞれに好みがありますが、理想とされる枕の高さは、枕なしで仰向けに寝た状態で布団と首筋の間にできるすき間の高さと言われています。横向きに眠ることが多い人は、首と背骨がまっすぐに床と平行になる高さが最適だと考えられています。
理想の高さを測るには、頭を軽く壁につけて直立に立ち、若干顎を引き、壁と首の一番深いカーブまでの距離を測ります。男性は約5~6㎝、女性は約3~4㎝が平均的です。
心地よい枕の柔らかさは、頭をのせた時に2cmほど頭が沈む硬さと考えられています。そのため、壁と首の一番深いカーブまでの距離に、2㎝足したすと理想の高さを割り出されます。
ただ、実際にはベッドのマットレスや布団の柔らかさにも影響を受けますので、1㎝単位で微調整しながら自分にとって快適な髙さを見つけるとよいでしょう。