この記事はAlmama編集部平山久仁子が執筆しました。
間違った脳の使い方が、老化を早める
脳で広範囲にニューロンが死ぬと、脳機能が低下し、記憶や注意力、認知障害だけでなく、性格も変えてしまいます。加齢は、このニューロンの大量死の原因の一つです。アルツハイマー病は、老化より脳機能を支えるネットワークに死が広がり、多くの細胞が失われたため現れてきます。
老化の影響をやわらげ、健康寿命を長く保つ可能性はあるのでしょうか。
老化の主な要因は、次の3つと言われています。
1.寿命に関わるテロメアという細胞の分裂が限界に達する
2.酸化ストレス
3.脳内の異常なたんぱく質の蓄積(小胞体ストレス)
これらをできるだけ避け、脳細胞を死から守るには、脳内で起こる「自然炎症」の負担を減らすことが大切です。そのために私たちが暮らしの中できることを見ていきましょう。外出先からもどったらまず手を洗い、手に着いたウイルスをとりましょう。うがいは医学的には予防効果への評価は分かれていますが、お口を清潔にするのは気分のいいものです。
人が生きるには、息をして酸素を取り込む必要があります。ではなぜ私たちに、酸素が必要なのでしょう。それは体を維持するために、たくさんのエネルギーを燃やし続けないといけないからです。私たちが食べる酸素以外に食べものから、脳はブドウ糖を取り出し活用します。そのブドウ糖を取り出すときに酸素を使うととても効率がいいのです。そのエネルギー効率の良さが、多細胞動物を進化させてきたからこそ、人間が生まれたのです。酸素を使うと、使わない場合より19倍ものエネルギーが得られます。このエネルギーは、細胞を増やしたり、古い細胞を取り除き新しい細胞に入れ変えたりするために使われます。この仕組みを知ると、深く新鮮な空気を吸う大切さがわかります。
ところがこの酸素を利用は、細胞に障害をもたらす活性酸素も生み出します。活性酸素はDNA遺伝子を損傷させたり、細胞膜を傷つけ、細胞を脱落させたりして老化の原因もつくってしまいます。特に大きなリスクが、傷ついた遺伝子の異常がもたらすガンの発生です。
もちろん、体も活性酸素を無毒化させるために、スカベンジャーというたんぱく質をつくり、酸化ストレスを軽減させる努力や修復が不可能な細胞を細胞死に誘導して健康を維持するために戦っています。
しかし、取り込まれた酸素の20%を使う脳は、高いエネルギー代謝が必要です。この活動なければ人間は喜んだり悲しんだり、愛し合たりする人間らしい生方ができなくなります。老化とは、人間らしく生きるためには、受け入れるしかないものなのです。
老化を遅らせる脳の使い方
様々な臓器の中で、脳は老化しやすい臓器です。まずそのことを知ることが大切です。その上で、間違った脳の使い方を避け5大ポイントをみて行きましょう。
1.ニューロンの働き方を偏らせたり、働かせすぎない。
2.そのためには、長時間同じ作業をしない。
3.脳のメンテナンスを意識する習慣を大切にする。
4.脳のSOS、疲れに耳をかたむける。
5.疲れを感じたら休む。違うことをして気分転換をはかる。
健康で成熟した高齢者の脳は、若い脳とほぼ同じように高性能です。健康的に年を重ねた脳では、知能の領域が加齢に伴って拡大する部分もあります。語彙が豊かになったり、語学力が磨かれるのはそのためです。血流をよくして、平衡感覚や筋肉量を高めると効果的です。
高齢化には記憶力、スムーズな行動機能、素早く行動を変える判断力をが低下し、物事に固執する傾向が現れてきます。同時に経験に伴う寛容さ、苦しみや悲しみに心を寄せる共感力を高めることもわかっています。老い受け入れる心もちが、楽しい暮らしを支え幸福感を広げます。
高齢者に現れる重度の機能低下と苦悩は、必ずしも一致しないことがわかっています。身体機能の回復や老化防止で頭をいっぱいにせず、「年を取ったら、こんなもの」と受け入れることで開く扉を知ると新しい笑顔が生まれ、周りも豊かにする老人力を発揮できます。
参考文献:「脳の寿命を決めるグリア細胞」岩立康夫
「脳の謎」ナショナル ジオグラフィック
「人はどう老いるか」久坂部羊